チェンライ寺院巡り、白黒青だけじゃない!在住者が教える隠れた名刹5選

白黒青だけじゃない!チェンライ寺院巡りの魅力が深まる理由

「チェンライ」と聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは、きっと「ホワイトテンプル(ワット・ロンクン)」「ブラックハウス(バーン・ダム)」「ブルーテンプル(ワット・ルン・スア・テーン)」といった、その名の通り鮮烈な色彩で知られる寺院群でしょう。これらは確かにチェンライの象徴であり、訪れる人を魅了してやまない素晴らしい場所です。しかし、実はチェンライの真の魅力は、その「白黒青」のさらに奥に隠されています。

私自身、チェンライに暮らし、この地の文化や人々の営みに触れる中で、ガイドブックにはあまり載らない、しかし心震えるほど美しい「隠れた名刹」と数多く出会ってきました。これらの寺院は、有名どころのような華やかさはないかもしれませんが、静かにたたずむその姿に、チェンライの深い歴史、独特の芸術性、そして地元の人々の篤い信仰心が色濃く息づいています。

なぜ「隠れた名刹」を巡るべきなのか?

有名な寺院は、その美しさゆえに多くの観光客で賑わい、時にはその喧騒が本来の静寂を損ねてしまうこともあります。しかし、隠れた名刹には、観光客の波に揉まれることなく、ゆっくりと時間をかけてその場所が持つエネルギーや精神性に触れることができるという、何物にも代えがたい魅力があります。

ここで体験できるのは、単なる「観光」ではありません。それは、人々の日常と密接に結びついた「生きた文化」との出会いであり、チェンライの歴史が織りなす「芸術の深淵」への探求です。それぞれの寺院が持つユニークな建築様式、繊細な装飾、そして静かに流れる空気感は、訪れる人の心に深く、長く残る特別な感動を与えてくれるでしょう。

在住者だから知る、本当のチェンライの姿

一般的な旅行者は、限られた時間の中で効率的に観光地を巡るため、どうしても情報量の多い有名スポットに集中しがちです。しかし、私のような在住者は、日常の中でふと立ち寄った場所や、地元の人々の会話から、思わぬ名刹の存在を知ることがよくあります。

また、チェンライはタイ北部のランナー王国の古都であり、バンコクを中心とするシャム文化とは異なる独自の仏教文化や建築様式(ランナー様式)が発展した背景があります。この多様性こそが、隠れた寺院の個性豊かな美しさを生み出しているのです。この深い文化的背景を理解した上で寺院を訪れることで、あなたはチェンライの「もう一つの顔」に出会えるはずです。

在住者厳選!チェンライの隠れた名刹5選

それでは、私が自信を持っておすすめする、チェンライの隠れた名刹を5つご紹介しましょう。これらは、単に美しいだけでなく、それぞれが異なる魅力と歴史を持つ、まさに「知る人ぞ知る」特別な場所です。

1. ワット・プラケオ(Wat Phra Kaew):エメラルド仏ゆかりの古刹

チェンライ市内中心部に位置するワット・プラケオは、歴史的に非常に重要な寺院でありながら、その知名度は白黒青寺院に比べると控えめです。しかし、この寺院こそ、タイで最も神聖とされる「エメラルド仏」が発見された地として、タイ仏教史にその名を刻んでいます。

見どころと魅力: かつてエメラルド仏が安置されていた本堂は、ランナー様式とアユタヤ様式が融合した美しい建築で、内部にはエメラルド仏のレプリカが安置されています。本物のエメラルド仏は現在バンコクのワット・プラケオ(王宮内)にありますが、ここチェンライのワット・プラケオは、その歴史的な重要性から「エメラルド仏の故郷」として尊敬を集めています。境内には落ち着いた雰囲気の庭園が広がり、本堂の隣にあるランナー様式の古い仏塔も必見です。静かな境内で、タイの最も神聖な仏像の起源に思いを馳せる時間は、きっと忘れられないものとなるでしょう。

アクセス: チェンライ市内中心部、ナイトバザールから徒歩圏内。

2. ワット・プラシン(Wat Phra Singh):歴史と芸術が息づく寺院

同じくチェンライ市内中心部にあるワット・プラシンも、歴史深く美しい寺院です。チェンマイの同名寺院(ワット・プラシン)と混同されがちですが、チェンライのワット・プラシンも独自の魅力を放っています。ここもまた、かつて聖なる仏像「プラシン仏」が安置されていたことで知られています。

見どころと魅力: この寺院の最大の見どころは、何と言ってもそのランナー様式の美しい本堂(ウィハーン)と、古い図書館(ホートライ)です。特にウィハーンの入り口を飾る精巧な木彫りの装飾や、金箔で彩られた細やかな装飾は、見る者を圧倒します。ホートライは、仏教の経典を保管するために建てられたもので、美しい彫刻が施されており、その芸術性の高さに驚かされます。市内中心部にありながらも、比較的静かで、じっくりとランナー文化の粋を味わうことができる貴重な場所です。

アクセス: チェンライ市内中心部、時計台からほど近い。

3. ワット・プラタート・ドーイトゥン(Wat Phra That Doi Tung):聖なる山の頂で眺める絶景

チェンライ市内から北へ約60km、タイ・ミャンマー国境に近いドーイトゥン山(メーファルアン山)の頂に位置するワット・プラタート・ドーイトゥンは、チェンライ北部において最も神聖な場所の一つとされています。ここは隠れた名刹というよりは、タイ人にとっては非常によく知られた巡礼地ですが、外国人観光客にはまだ「白黒青」ほど知られていません。

見どころと魅力: ドーイトゥンは「聖なる山」として古くから信仰を集めており、この寺院には釈迦の左鎖骨が納められていると伝えられています。標高の高い場所に位置するため、寺院からはメーファルアンの広大な山々のパノラマと、遠くミャンマーの国境線を望むことができます。特に、朝霧がかかる早朝や、夕日が沈む時間帯の眺めは息をのむ美しさです。二つの金色の仏塔が印象的で、静かに祈りを捧げる巡礼者たちの姿に触れることで、神聖な空気を肌で感じられるでしょう。寺院の周りにはドーイトゥン・ロイヤルヴィラやドーイトゥン・コモンズなどの関連施設もあり、一日かけてゆっくりと過ごすのがおすすめです。

アクセス: チェンライ市内から車で約1時間半。レンタカー、ソンテウチャーター、またはツアー利用が便利です。

4. ワット・パーサック(Wat Pasak):ランナー様式の壮麗な美(チェンセーン遺跡公園内)

チェンライ市内から北に約60km、メコン川沿いに位置するチェンセーンは、かつてランナー王国の中心地の一つとして栄えた古都です。そのチェンセーン遺跡公園内にひっそりと佇むのが、ワット・パーサックです。

見どころと魅力: ワット・パーサックは、14世紀に建てられたとされ、その名の通り「チーク材の森の寺院」を意味します。ここには、約60本のチーク材の柱が使われていたという伝説があります。最大の見どころは、その非常に美しい仏塔(チェーディー)です。ランナー様式を基調としつつ、クメール様式の影響も感じさせる独特のデザインは、まるで長い歴史の物語を語りかけてくるようです。細かい漆喰の彫刻や、仏陀の姿が描かれたレリーフは、時を経てもなおその美しさを保ち、訪れる人々を魅了します。周囲の広大な遺跡群も合わせて散策することで、ランナー王国の栄華を肌で感じることができるでしょう。

アクセス: チェンライ市内から車で約1時間。チェンセーン遺跡公園内にあります。

5. ワット・クランウィアン(Wat Klang Wiang):歴史と信仰が交錯する隠れた寺院

チェンライ市内中心部の、比較的目立たない場所にあるワット・クランウィアンも、在住者だからこそ知る静かな名刹の一つです。その名の通り、「街の中心の寺院」という意味を持ち、チェンライの歴史の中で重要な役割を担ってきました。

見どころと魅力: この寺院は、かつてチェンライの都市の「柱(ラックムアン)」が立てられていた場所であり、街の精神的な中心として信仰されてきました。境内はそれほど広くありませんが、金箔で装飾された美しい本堂や、独特の形をした仏塔が印象的です。特に、ランナー様式の特徴である精緻な装飾が随所に施されており、細部までじっくりと鑑賞する価値があります。観光客が少ないため、静寂の中で祈りを捧げたり、ゆっくりと建築美を堪能したりすることができます。地元の人々が日常的に訪れる、暮らしに根ざした寺院の雰囲気を味わえるでしょう。

アクセス: チェンライ市内中心部。ナイトバザールから徒歩圏内。

チェンライの隠れた名刹を巡るための実践アドバイス

これらの隠れた名刹を巡ることで、あなたのチェンライ旅行は一層深みを増すこと間違いなしです。ここでは、スムーズで快適な寺院巡りのためのアドバイスをお伝えします。

アクセス方法と移動手段

ご紹介した寺院の中には、チェンライ市内から少し離れた場所にあるものも含まれます。

  • 市内中心部の寺院(ワット・プラケオ、ワット・プラシン、ワット・クランウィアン): 徒歩、またはソンテウ(乗り合いタクシー)、トゥクトゥク、Grab(配車アプリ)を利用するのが便利です。
  • 郊外の寺院(ワット・プラタート・ドーイトゥン、ワット・パーサック): レンタカーを借りるか、タクシーやソンテウをチャーターするのが最も効率的です。一日チャーターすれば、複数の寺院を巡ることも可能です。現地の旅行代理店でツアーを探すのも良いでしょう。バイクやスクーターをレンタルして、風を感じながら移動するのも楽しいですが、国際免許と安全運転を心がけてください。

訪問時のマナーと服装

タイの寺院を訪れる際は、敬意を示すことが非常に重要です。

  • 服装: 肩や膝が隠れる服装を心がけましょう。ノースリーブやショートパンツ、ミニスカートは避けるべきです。特に女性は、より肌の露出が少ない服装を選びましょう。寺院によっては、入り口でスカーフやサロン(巻きスカート)を貸し出していることもありますが、持参することをおすすめします。
  • 靴: 寺院の本堂に入る際は、必ず靴を脱ぐのがマナーです。脱ぎやすいサンダルやスリッポンが便利です。
  • その他:
    • 仏像や僧侶を指差したり、背を向けて写真を撮ったりするのは避けましょう。
    • 騒がず、静かに見学しましょう。
    • 僧侶に触れるのはタブーです。特に女性は注意が必要です。
    • 喜捨(寄付)は寺院の維持に役立ちます。小額でも良いので、気持ちがあれば行いましょう。

時間配分と回り方のヒント

一度にすべての隠れた名刹を巡ろうとするのではなく、興味のある寺院を2〜3箇所に絞り、ゆっくりと時間をかけて訪れるのがおすすめです。

  • 午前中の訪問: 多くの寺院は午前中が比較的空いており、光も美しいため、写真撮影にも最適です。
  • 休憩と水分補給: タイは暑いので、こまめな水分補給を忘れずに。寺院周辺には小さな商店やカフェがあることもあります。
  • 柔軟な計画: 公共交通機関が限られている場所もあるため、移動時間を少し長めに見積もっておくと安心です。道中で地元の市場に立ち寄ったり、美味しいローカルフードを楽しんだりするのも、隠れた魅力を発見する良い機会になります。

チェンライ寺院巡りで見つける、あなただけの特別な旅

「白黒青」の有名寺院ももちろん素晴らしいですが、チェンライにはそれだけではない、もっと奥深く、もっと心に響く場所がたくさんあります。隠れた名刹を巡る旅は、まさに「探検」のような体験です。

有名寺院との組み合わせでさらに奥深く

初めてチェンライを訪れる方は、まずは「白黒青」寺院でその壮大な美しさに触れるのも良いでしょう。その上で、旅の後半や別の日に、今回ご紹介した隠れた名刹をいくつか組み合わせてみてください。有名寺院の華やかさと、隠れた寺院の静寂や歴史の重み、それぞれが持つコントラストが、チェンライという土地の多面的な魅力をより一層際立たせてくれるはずです。

旅の記憶をより豊かにするヒント

隠れた名刹では、地元の人々が日常的に祈りを捧げ、生活の一部として寺院が存在しています。そこでは、観光客目線ではなかなか気づけない、本当のタイの文化や人々の温かさに触れることができるかもしれません。

  • 現地の人との交流: もし可能であれば、地元の人々(特に寺院の関係者や僧侶)に話しかけてみてください。片言のタイ語や英語でも、笑顔で接すれば、思いがけない出会いや貴重な話が聞けるかもしれません。
  • 五感で感じる: 寺院の建築をじっくり眺めるだけでなく、線香の香り、鐘の音、風に揺れる木々の音、静寂の空気など、五感をフルに使ってその場の雰囲気を感じ取ってみてください。きっと、あなたの心に深く刻まれる特別な体験となるでしょう。

まとめ: チェンライの新たな魅力を発見する旅へ

チェンライの寺院巡りは、単なる観光スポットの訪問ではありません。それは、ランナー文化の深淵に触れ、タイの歴史と芸術、そして人々の信仰心を肌で感じる、感動的な旅です。有名どころの「白黒青」はもちろん必見ですが、その先には、地元の人だけが知る、ひっそりと佇む宝石のような隠れた名刹が、あなたを待っています。

今回ご紹介した5つの寺院は、それぞれが異なる魅力を持ち、あなたのチェンライ旅行をより豊かで忘れられないものにしてくれるはずです。ガイドブックには載らない、あなただけの「とっておきの場所」を見つけに、さあ、チェンライの奥深い世界へ一歩踏み出してみませんか?あなたの探求心と好奇心を満たす、最高の体験がそこには待っています。

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by.チェンライ日本人の会
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